EU、カンボジアの特恵関税を一部停止
「人権状況の改善みられない」と判断
欧州連合(EU)の欧州委員会は2月12日、カンボジアからの貿易品に対する特恵関税制度を一部停止すると発表した。欧州議会と加盟国の反対がなければ、今年8月12日に発動される。
欧州委員会の発表によると、この措置は、EUへ輸出されるカンボジア産品の約2割が影響を受けるという。
EUは、カンボジアにおける政治活動の自由が著しく制限され、人権が抑圧されていると指摘、同国政府に対し、改善されなければ特恵関税を撤廃する、と伝えていた。その後約1年にわたりEUによる調査が行われたが、「人権状況に顕著な改善がみられなかった」として、今回の経済制裁に踏み切った。
EUはカンボジアにとって最大の貿易相手。2018年には全輸出額の約45%が対EU輸出だった。EUは、カンボジアに対し、武器以外のすべての製品を無関税とする特恵関税制度を2001年から適用している。
欧州委員会の発表によると、特恵関税が停止されるのは衣料品や旅行用品、砂糖など。高級衣料品や一部の靴などは引き続き特恵関税制度が適用されるが、カンボジアの主要産業である縫製業が大きな影響を受けるものとみられる。
EUは、「われわれは、民主主義が腐食し、人権が抑圧され、自由な発言が許されないような状況を看過できない。今回の決定は、われわれが、カンボジアの人々の権利や、国の発展に深く関与していくという決意の表れでもある。カンボジア政府は、今回の措置を受けて、必要な対応をとらなくてはならない」と、している。
EU側は、最大野党であるカンボジア救国党党員の政治的権利の回復や、政党法の改善などに顕著な改善が見られれば、「特恵関税一部停止の解除を検討することもあり得る」としている。
(原文:https://www.phnompenhpost.com/national-politics/eu-partially-withdraws-eba)
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