カンボジア通信
2021年の交通事故死、前年より減少
2021年1月から11月までの交通事故による死者は、前年同期と比べ162人減ったことが分かった。交通事故数も減少傾向にある。プノンペンポスト紙が報じた。
カンボジア国家警察によると、2021年11月までの交通事故数は2,387件で、2020年同期の2,920件よりも減った。負傷者は3,231人、死者は1,345人で、それぞれ前年同期の4,351人(25.7%減)、1,507人(10.7%減)を下回った。
同紙は国家警察の見解として、交通事故の減少は、道路交通法のより厳格な施行によるものとしている。また、交通安全の啓発活動も積極的に行っており、その成果でもあるという。一方で、新型コロナによる行動制限が解除され、再び交通事故が増加する恐れもある、と指摘する。
カンボジアでは経済成長とともに自家用車を持つ人が増えた。給与所得者が増え、ローンを利用すれば中間所得者層も車を持つことができるようになり、より手頃な価格の小型自動車の数も増えた。一方で信号や歩道橋の整備、駐車場不足の解消、交通安全教育の普及など交通インフラの課題解決が急務だ。こうした状況を受け、首都プノンペンでは、信号機の設置や交通管制システムの整備に日本が援助をした。また、公共交通機関である「都バス」の拡充事業も支援している。
カンボジアは、日本で昭和30年代に起きた「交通戦争」と似た状態にあるともいわれており、交通事故死者数の増加が社会問題となっている。今回の交通事故減少は、新型コロナ感染防止のための行動規制で、人々の移動が激減したことが影響しているという見方もでき、今後の動向が注目される。
(参考:https://www.phnompenhpost.com/national/2021s-road-casualties-down-last-year-nrsc-report)
出典日本カンボジア協会