カンボジア進出のきっかけは「ご縁」
2011年にカンボジア現地法人を設立致しました。
設立当時、日本において売上も順調に推移していたところ、2011年3月11日の東北大震災が起こりました。インターネット通販を中心に事業展開をしていたため、弊社の東北地区の売上は壊滅状態で、3割程度の売上が減少しました。
今後の先行きに不安も覚え、経営者の多くが下を向いている中、私は海外進出を決意しました。視察のために友人を訪ねてカンボジアを訪問しました。
そこは、まさに衝撃と感謝の連続でした。
多くのカンボジア人が、日本人の私を見て「I pray for Japan(日本のために祈ろう)」と暖かい言葉を多くかけてくれました。また人口ピラミッドは日本とは真逆でとても若い国で、心の底から不思議と活力がみなぎっていました。
たった5日間ほどの滞在でしたが私の心はすでに、「この国で勝負したい。日本の中小企業の力をこのステージで示したい」と決まっていました。2011年2月~10月の間に計6回足を運び、自らの足で情報を集めました。
そして翌年に法人を設立することができました。
時代は「SDGs」ブーム
弊社では特にSustainable Development Goalsの通り「持続可能である」という部分を大事にしております。これを実現させるためには、他社依存ではなく、相互依存が大事と考えます。どちらか一方に頼る形では、必ず持続が難しいと思うからです。
私は、「カンボジア人は素晴らしい」ことを知っています。「勤勉で能力がある」ことも知っています。だからこそ、私はカンボジア人と相互に協力し一緒に成長していきたいと思います。
そこには「give & given(与えるから与えられる)」の精神があり、まずは自分から、giveしていきます。それに応えてくれるカンボジア人と一緒にビジネスを取りくみ、成果をあげていけると信じています。常にこの精神を中心に活動を続け、多くの実績をあげていきたいと思います。


2016年度には独立行政法人国際協力機構(以下JICA)の中小企業海外展開支援事業「案件化調査」に採択され、カンボジアゴールデンシルク(以下CGS)の可能性の調査を行いました。
非常にポジティブな興味深い結果が得られました。
この結果を受けて、2019年度には、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業「普及・実証・ビジネス化事業」に採択され、CGSを活用した化粧品の開発を行い、世界へ向けて発信し、ブランディングを行いたいと考えております。
カンボジアには多くの素晴らしい農作物があり、日本の製品加工技術は世界屈指のレベルと思います。
その2点が交わることで、カンボジア農作物の付加価値は上がり、技術を持つ日本の中小企業が海外進出できる手段であると考えます。この活動をしていくにあたり一般社団法人 日本カンボジア協会のご支援を受け、ノロドム・シハモニ国王陛下に拝謁することもできました。




またフンセン首相をはじめとする閣僚の皆様にもお会いさせていただき、日本の中小企業の技術に期待されておられることを肌で感じることができました。
カンボジアにおける活動も、随時このHPで世界に向けて配信してまいります。
カンボジアにおいて日本企業の可能性は無限大

カンボジアで共に活動したい皆様は大歓迎です。カンボジア進出にご興味がある事業者様、就職前にインターンを海外で経験したい学生、在日カンボジア留学生の皆様「give & given」の精神を共有できる方であれば、何ら問題はありません。
ぜひ一緒に挑戦致しましょう。
「女性の社会進出を支える、カンボジアのゴールデンシルク:持続可能な未来を共に創る」

加藤代表(左) ノロドム・シハモニ国王拝謁(右)
iL BRiLLEの取り組み 6次産業化
Mission
ASEANの中心にあるカンボジアで日本の中小企業が咲き誇る世界を創ります。
Vision
日本流の美容産業をカンボジアで構築し、経済発展に寄与すると共に、カンボジア人女性の社会進出を支援します。
Value
持続可能なカンボジアにおけるゴールデンシルク村の復興に貢献します。カンボジアゴールデンシルク配合の化粧品をブランディングし、拡販します。日本式の美容カウンセラー養成学校の運営を実施し、カンボジア人美容カウンセラーを養成します。
1次産業(農業)

シルク農家の開発
・JICA案件化調査(2016)の紹介
目的
カンボジアのゴールデンシルク産業の現状を評価・課題を特定し、技術移転の可能性を探る。結果は日本のODAプロジェクトやビジネス開発計画に役立てられる。
課題
技術のギャップ: 高品質のゴールデンシルクタンパク質の抽出・保存技術が不足している。
人材: カンボジア王立農業大学(RUA)のトレーニングと設備が不十分である。
加工技術: ゴールデンシルクタンパク質の二次加工技術が未整備である。
研究機関: ゴールデンシルクタンパク質の利点を促進する研究機関が不足している。
提案される製品と技術
ゴールデンシルクの繭生産に向けた技術的スキルを向上させる。
ゴールデンシルクタンパク質の抽出と品質テスト方法を確立させる。
提案されたODAプロジェクトと期待される影響
持続可能な生産: 農家へのマルベリー栽培トレーニングと高品質の繭卵を提供する。
品質検査: カンボジア王立農業大学(RUA)での品質検査システム確立と地元企業を支援する。
二次加工技術: ゴールデンシルクタンパク質を長期保存・加工方法を開発する。
産業活性化: 高品質のカンボジア産ゴールデンシルク製品の需要促進ワークショップを開催する。
ビジネス開発
ゴールデンシルクタンパク質を基にした製品の地元生産を目指し、初期の取り組みとして日本でのセリシン石鹸生産を計画、2022年にカンボジアで試作予定である。
・カンボジア事業としての農業の可能性
農業を事業として捉える事が重要で、カンボジア人がカンボジア人を雇用する仕組みが地域経済を活性化させます。
経済的利益: ゴールデンシルクの生産はシルク農家にとって重要な収入源であり、特に低所得のシルク農家にとっては重要な追加収入の機会となります。ゴールデンシルクの輸出も経済成長に寄与する可能性があります。
政府の支援と国際協力: カンボジア政府や国際機関がゴールデンシルク産業の復興を支援しており、技術研修や資金援助が行われています。これにより、持続可能な養蚕農業の発展が期待されています。
・コンポンスプー州での課題解決
コンポンスプー州では、蚕の死亡率や農民教育の難しさといった課題が存在し、これらに対する具体的な解決策が模索されています。カンボジアの養蚕業は、シルク(繭)が依然として織物(絹糸)としてのみ利用されているため、養蚕農家は十分な収入を得られず、伝統的な養蚕業が衰退しています。また、シルクプロテインの抽出、品質検査、粉末化を行うための適切な人材や設備が不足しており、化粧品や食品、医薬品などへの応用ができていません。このため、シルクプロテインの有用性を国内で広く普及させ、カンボジア・ゴールデンシルク(CGS)の需要を高める事が求められています。
・ビジネスモデルと開発効果
現地財閥企業との合弁で事業を計画し、カンボジア・ゴールデンシルク(CGS)シルクプロテインを活用したシルク石鹸製造工場等の建設を目指します。品質を安定化させるために、CGSの繭を国内の契約養蚕農家から購入します。ターゲットは、美白に関心の高いカンボジアやASEAN諸国の女性客です。さらに、既存製品よりも廉価なOEM製品を製造し、製造販売エージェントを拡大しながら、ローカルマーケットへの販売も拡大します。
本事業では、シルクプロテインの抽出、品質検査、粉末化を適切に実施できる人材を育成し、必要な設備を整えます。また、カンボジア・ゴールデンシルク(CGS)における品種ごとのシルクプロテインの成分データを整理し、その有用性を実証することで、CGSの高付加価値化とブランディングに寄与します。さらに、カンボジアの行政機関や民間セクターにシルクプロテインの有用性が認知されることにより、シルク産業の活性化を促進します。(2021年1月現在)


カンボジア王立農業大学(RUA)
・研究と教育の役割
カンボジア王立農業大学(RUA)は、ゴールデンシルクに関する研究と教育を通じて、美容業界の発展を支援しています。シルク農家が育てたゴールデンシルクは大学に運ばれ、イル・ヴリールのシルクプロジェクトにより、美容成分の抽出技術が導入されました。大学内には「イル・ヴリール ラボ」が設立され、教授と学生が共同で研究を進めています。この研究環境は、実践的な教育を提供し、技術力を高める役割を果たしています。
・ゴールデンシルクの歴史
カンボジアの養蚕は13世紀から始まり、特にゴールデンシルクが有名です。シルクの織りは文化的伝統の一部ですが、1930年以降クメール・ルージュ政権による影響でシルク生産は政権前の年間50万トンから政権後、年間0.8トンに激減しました。過去20年間、政府や団体が復興を試みていますが、現在のシルク農家は100人未満、織り手も5,000人未満に減少しています。観光市場の成長によりシルク製品は評価されていますが、支援は分散しており、2006年に策定されたシルクセクター戦略が再更新されました。2014–2018年のカンボジア貿易統合戦略(CTIS)においても重要な経済発展セクターの一つとされました。CTISでは、カンボジアの文化的イメージや観光促進におけるシルクの重要性が強調されており、高品質のシルク製品のデザインと輸出を目指す動きが進められています。
2次産業(加工)

シルクプロテインの抽出・分析
・JICA普及実証事業(2019)
対象地域と受益者
・対象地域: プノンペン、シェムリアップ、カンダル、タケオ、シハヌークビル
・受益者: RUAのスタッフ・学生、地元の農家やシルク業者
調査の成果
・シルクソープ製造: RUAに設備が整い、品種No.23が特定され、試作したシルクソープは86%の参加者に好評である。
・品質検査システム: RUAの能力向上が進み、スタッフがトレーニングを受けた。
・シルクタンパク質の認知: CGSワーキンググループを通じて認知が広まり、プロモーション資料を作成した。
・商業化の成果: シルクソープのバリューチェーン調査が行われ、SDGsへの貢献が確認された。
未来の展望: RUAはCGSグループの技術アドバイザーとして、民間企業やNGOとの連携を強化し、シルクの有用性を広め、養蚕業者の収入改善に寄与することを目指す。
教訓と推奨事項
・RUAへの継続的な支援に感謝する。
・カンボジアのシルクワーム品種の適切な管理の重要性を強調する。
この取り組みは、カンボジアのシルク産業を強化し、経済成長や農村の生計向上に寄与することを目指している。
背景: カンボジアの人口は約1557万人、1人当たりGDPは1070ドルで、都市と農村間の収入格差が拡大している。農業はGDPの30%を占め、20%の農村人口が貧困ライン以下で生活している。政府は農業と中小企業の強化を目指し、シルク生産の再活性化が求められている。
調査の概要
この調査は、カンボジアのシルクから抽出されたシルクタンパク質の有用性を示し、シルク産業の再活性化に寄与することを目的としている。
活動内容:
・シルクソープの生産を通じたシルクタンパク質の実証
・シルクタンパク質の品質検査システムの開発
・シルクタンパク質の利点を広める調査とプロモーション
・シルクソープの商業化に関する成果
提供される技術
シルクタンパク質の抽出と加工技術を用い、環境への影響を最小限に抑えた効率的なプロセスを実現する。
対応機関
カンボジア王立農業大学(RUA)
・カンボジア王立農業大学(RUA)での研究
カンボジア王立農業大学(RUA)では、現在25種類のゴールデンシルクの中から、美容成分を最も多く含むゴールデンシルクが特定され、そのシルクから美容成分が抽出されています。イル・ヴリールでは、この抽出された美容成分を化粧品に配合しています。特に注目されている美容成分は「セリシン」で、これは肌の保湿に寄与する働きを持っています。この研究により、シルクの有用性を活かした化粧品の開発が進められています。

日本の技術を用いた加工
・カンボジアでの54品種の蚕を使用した革新的な製品開発
イル・ヴリールのシルクプロテイン抽出技術は、カンボジア工業省からイノベーション技術の特許申請を試みており、カンボジアンゴールデンシルクから抽出されています。この技術により、イル・ヴリールはシルクプロテインを配合した化粧品をOEMで開発し、カンボジアのSDGsに貢献しています。技術移転には、タイのマハーサラカム大学からシルクの専門家が招かれ、王立農業大学にシルクプロテインの抽出、品質検査、粉末化を行うための資機材が導入され、技術力の向上が図られました。
さらに、農業省、商業省、保健省、工業科学技術革新省、文化芸術省、女性省、王立プノンペン大学などが参加するCGSワーキンググループが設立され、カンボジア産ゴールデンシルクの有用性の普及や、繊維産業以外での活用促進に努めています。

・日本での研究成果や製品の具体例(2024)
リポソームは、レシチンを基にした多重膜粒子で、油分や水分を内包したカプセルを形成します。この特性により、肌に馴染みやすく、成分が内部で効果的に機能することが可能です。リポソームは保湿力と補修力に優れ、化粧品としての認知度が高く、実感からくるリピート率も高いです。また、高保湿ながらベタつかない感触が特長です。
Liposome Serum(製品名(仮)):この美容液は、浸透率と保湿力を高めるリポソーム原料「PureMultisome」を100%使用しています。ビタミンCとビタミンEを含むカプセルが肌内部に浸透し、肌の調子を整えます。慢性的なストレスや不規則な生活、抗酸化、ニキビの原因を解消するエイジングケア製品です。
特徴
高純度:高純度のレシチンを使用し、色やニオイが出にくい。
有効成分:ビタミンCとビタミンE結合誘導体を配合し、分離・凝集・析出が起こりにくい。
効果効能:保湿、抗酸化、抗炎症、肌荒れ改善、ニキビ抑制、ヒアルロン酸分解抑制、ターンオーバーの正常化
コンセプト
「つい触らせたくなる肌」を目指し、内部から肌を育てる浸透型の贅沢美容液です。
ニーズとターゲット
年齢と共に気になる肌の悩みを抱える40~50代の男女を対象に、本当に良い成分で実感を得たいと望む方々にアプローチします。
ポジショニング
高濃度リポソーム原液美容液:1滴(0.1ml)で約5兆個の美肌カプセルを含有し、角層への浸透を促進します。
防腐剤不使用:肌に優しい製品設計です。
3次産業(カウンセラー育成)


カンボジア事業の展望
・出口調査と中国などへの販路拡大戦略
イル・ヴリールの商品は、中国市場での需要が高まっています。さらなる需要の拡大を目指すためには、入念な出口調査が不可欠です。これにより、海外市場への理解を深め、リスクを軽減し、効果的な販売戦略を策定する事が出来ます。こうした取り組みにより、中国だけでなく、海外全体でのビジネス拡大を実現出来るでしょう。
ゴールデンシルクのマーク付き商品の販売
・農家への利益還元とゴールデンシルク貢献
私たちは2016年のJICAの「育蚕技術移転」プロジェクトからゴールデンシルク産業への取り組みを開始し、その後、カンボジアンゴールデンシルクを配合した化粧品の開発を進めました。しかし、1960年頃のピーク時には約200軒あったゴールデンシルク農家が現在では5軒に減少し、価格競争やコロナウイルスの影響で状況は厳しくなっています。
「この美しい伝統産業を守りたい」、「農家の経済状況を改善したい」という想いから、私たちはカンボジアゴールデンシルク配合の化粧品を開発しました。カンボジアゴールデンシルクは、バンテミンチェで生産され、クメール王朝時代から受け継がれてきた貴重な伝統文化です。シルクには美容成分が豊富に含まれており、数年にわたり研究・開発を重ねてきました。
2020年以降、カンボジアの養蚕農家が減少する中、私たちは農業省と連携して養蚕業の復興に取り組み、質の良い生糸を生産するための技術を提供しています。また、全てのシルクをカンボジアの農家から購入し、農家への利益還元とゴールデンシルクの貢献を実現しています。

NIEI(スクール)(カンボジア労働訓練省所管)
・教育プログラムの実施(2024)
本事業は、カンボジアの美容産業の発展と女性の経済的自立・独立起業を支援することを目的としています。具体的には、職業訓練所でカンボジアの女性に対し、日本基準の高度な美容技術と正しい知識を提供し、ビジネスに関する講座を設けることで、受講者の経済的自立や起業を促進します。
2024年1月22日に開校式が行われ、労働職業訓練大臣や日本大使が出席しました。1月23日から学習プログラムが開始され、日本人講師が定期的に訪れ、マッサージ技術や美容知識の指導を行っています。初の期末試験は2024年8月下旬に実施され、多くの学生が合格し、次のステップに進んでいます。
この取り組みは、カンボジア政府が掲げる「2030年までに150万人の貧困青少年に高度職業訓練を実施する」という政策に基づいており、ハイディプロマの発行や実店舗でのインターンシップを通じて、カンボジア女性の経済的自立を支援していきます。また、2025年度には新たな講師を選出する仕組みを構築し、継続的かつ発展的な授業体制を整える予定です。さらに、同年3月には30名の新たな学生を受け入れ、より多くの女性に教育機会を提供する計画です。尚当プログラムは、日本の文部科学省の「EDU-Portニッポン」プログラムに認定されています。
関連リンク
https://www.eduport.mext.go.jp/platform-member/20230714-8511/
・卒業生の就職支援・起業家育成
2011年よりカンボジアプノンペンにフェイシャルトリートメントサロンを開業しました。サービス内容として、セラピスト育成、美容事業を14年カンボジアで営んで参りました。そして、第二フェーズとして女性起業家育成、美容学校カリキュラム開発及び育成を2024年より実施しています。

日本語学習の提供
・カンボジア人スタッフ向けの日本語学習プログラム
NIEIでは円滑なコミュニケーションを図るため、カンボジア人スタッフに日本語学習の機会を設け、日本語学習を促進しています。
具体的な販路


・ターゲット顧客の紹介
労働環境の改善とセラピストの社会的地位向上のため、イル・ヴリールは顧客を女性限定にしています。また、海外でのイル・ヴリール製品の需要が高まる中、中国を含む諸外国への販路拡大にも力を入れています。
Sustainable Development Goals

美容業界でのキャリア形成を支援するプログラムを実施し、カンボジア人女性の社会進出を促進します。

日本流の美容産業をカンボジアで構築し、新たな雇用を創出する事で、地元の経済発展を促進します。

カンボジアゴールデンシルクを活用した製品開発を行い、地域産業との連携を深めます。
カンボジアゴールデンシルクプロジェクトにより期待されるSDGsへのアプローチ

カンボジアゴールデンシルクコスメティックプロジェクトは、経済(GDP)、文化、女性社会進出、郵便通信広告、観光に対して大きく寄与する案件です。
カンボジア政府との取り組みをモニラット財務相、サコナ文化芸術相、パビー女性相、バンデート郵電相、フォトハック観光相といった副首相や大臣にご説明しました。
国際貢献

・ゴールデンシルクの歴史と衰退の背景
ゴールデンシルクは、カンボジアの伝統的な織物文化の一部であり、特に高級なシルク製品として知られています。カンボジアの織物は古代から存在し、特にクメール王国時代(9世紀〜15世紀)には、シルク製品が王族や貴族に重用されていました。この時期、シルクは貴族の象徴とされる高価な素材でした。ゴールデンシルクは、特に高品質のシルク糸を使用しており、独自の染色技術と織り方が伝承されています。また、カンボジアの伝統的なデザインやパターンは、文化的な価値を持っています。しかし、内戦やポル・ポト政権による影響で一時的に衰退しました。1970年代の内戦、特にポル・ポト政権(1975-1979)の影響で、多くの伝統的な技術が失われ、多くの職人が犠牲となり、織物業界は崩壊しました。さらに、カンボジアの経済が不安定であったため、高品質のゴールデンシルクを生産するための投資が不足し、安価な輸入品に対抗できず、国内市場での競争力が低下しました。加えて、消費者の好みが変わり、手頃な価格の製品が求められるようになったため、伝統的なシルク製品の需要が減少しました。技術を継承する職人も減少し、若い世代がこの伝統的な技術に興味を持たなくなった事も衰退の一因です。このような背景を持つゴールデンシルクですが、近年は伝統技術の復興や観光業の発展によって再評価されており、持続可能な生産やマーケティングが進められています。

・ゴールデンシルクを通じた地域貢献の重要性
イル・ヴリールは、2016年からカンボジア政府と連携し、貧困解決を目指して現地で生産されるゴールデンシルクを用いた化粧品開発に取り組んでいます。2021年に開始されたJICA民間連携事業「養蚕業振興に向けた国産シルクの高付加価値化における普及・実証・ビジネス化事業」では、カンボジアのシルク産業の活性化を目指し、カンボジア産シルクから抽出されるシルクプロテインの有用性と品質を検証しています。このプロテインは、イル・ヴリールが開発した技術により抽出され、カンボジア工業省にイノベーション技術として特許認定されています。イル・ヴリールはこのプロテインを配合した化粧品をOEMで開発し、カンボジアのSDGsへの貢献を目指しています。展示会では「#sdgscosmetics」を掲げ、OEMやサロンへの導入を提案しています。しかし、シルク産業はカンボジアの伝統文化である一方で、2020年頃から原料の輸入が増加し、コロナ禍で養蚕農家の数が減少しました。これを受けて、イル・ヴリールは養蚕業振興プロジェクトを開始し、質の良いシルクプロテインを得るための蚕の品種を探し、農家に健康な卵や桑の苗を提供しています。今後は全てのシルクプロテインを現地の契約農家から購入する方針です。育てた繭はカンボジア王立農業大学(RUA)に運ばれ、イル・ヴリールラボが設立され、美容成分を抽出する技術が導入されます。タイから招待した教授が技術指導を行い、現在54種のシルクから美容成分を抽出し、特定のシルクプロテインが活性酸素除去やコラーゲンの破壊を阻害する効果が確認されています。商品としては、洗顔石けんを始めとした製品の生産に取り組み、カンボジアで工場を設立して現地雇用を創出します。これにより、農民の生活を直接支援し、真のSDGs達成に取り組んでいます。
海外へのプロモーション活動
多くの日本の中小企業がカンボジアでのビジネスチャンスを見出しています。なぜなら、カンボジアは経済成長率が高く、若者の活躍が期待されるため、大企業に比べ中小企業が参入しやすい環境が整っているからです。イル・ヴリールもその一つで、親日国であるカンボジアにおいて、カンボジア人女性の雇用創出を重視しています。さらに、FacebookやInstagramなどのSNSを活用してイル・ヴリールの商品の宣伝を行い、グローバルな販路の拡大を目指しています。
カンボジア政府との連携

・日本カンボジア協会(JCA)の活動
労働職業訓練省(MLVT)内に美容学校を開校し、カンボジア人女性に美容知識や技術を教育します。日本人専門講師を招き、2年間で「正しい美容知識、スキンケア方法、美容機器の使い方」を教え、美容専門家を育成します。授業には「経営企画、集客、顧客管理」などの経営学の講座も含まれ、卒業生の経済的自立を支援します。卒業生には国立起業家イノベーション研究所(NIEI)から公的資格が発行されます。このプロジェクトは、日本の文部科学省の「EDU-Portニッポン」プロジェクトに採択され、2022年4月に行われた日本カンボジア協会(JCA)第2回マッチングイベントでTTP Groups CambodiaのOKHNA TE TANGPOR氏と協議を重ね、2023年9月にMOUを締結しました。カンボジアの経済成長に伴い、美容健康分野の需要が拡大すると予測されており、正しい知識と技術を持つ人材の育成が重要です。カリキュラムは、最初の1年間で座学と実技講習を行い、後半の1年間では実際の施術やインターンシップを通じて実践経験を積みます。
関連記事
https://japan-cambodia.or.jp/about-member/activities/%e6%a0%aa%e5%bc%8f%e4%bc%9a%e7%a4%be%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%83%96%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%80%82%e5%8a%b4%e5%83%8d%e8%81%b7%e6%a5%ad%e8%a8%93%e7%b7%b4%e7%9c%81%e6%96%bd%e8%a8%ad%e5%86%85
・技術や知識の交流促進
「美容産業の発展」と「女性の起業・経済的自立のバックアップ」を目的に、日本とカンボジアで職業訓練を実施しています。令和6年1月23日、カンボジア労働職業訓練省傘下の国立起業家イノベーション研究所で美容カウンセラーコースを開設しました。カンボジアでは経済発展に伴い美容分野の需要が増加しており、多くの新しいコスメショップやエステサロンが誕生していますが、誤った知識に基づく施術も多く見られます。美容は健康に直結する重要な産業であり、開校式にはヘン・スアー大臣や植野篤志大使が出席し、応援の言葉をいただきました。また、国立起業家イノベーション研究所、TTP Group、株式会社イル・ヴリールの間でMoUも締結されました。この取り組みはカンボジア政府の公式ニュースでも紹介されています。本コースでは、2年間を通じて基礎的な知識と技術の指導に加え、実際の労働や店舗運営に向けた実践的な指導も行います。美容分野の専門知識と高度技術を提供し、日本人講師が定期的に指導します。オンラインでの遠隔指導も行い、カンボジア人講師がフォローします。美容座学では、「セラピストとしての心構え」や「ホスピタリティ」、マッサージの理論、サロンの衛生管理などを学びます。また、受講者の経済的自立と起業を支援するためのビジネス講座も実施し、経営計画や集客方法について学びます。コース終了後には、公的な修了証(ハイディプロマ)が発行されます。
トラブルの事例:
・低品質な化粧品による肌荒れや変色
・間違った美容機器の使用によるやけどなどのケガ
これらの問題を解決するためにも、正しい知識と技術を習得する事が重要です。
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